19/08/2026
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『 パフェから、果物へ 』
先日、とても嬉しいことがありました。
canvasでパフェを召し上がったお客様から、
「このパフェに使っている桃が美味しかったので、桃そのものを買いたい」
とお声をかけていただきました。
パフェを作っている自分にとって、
もちろん「パフェが美味しかった」と言っていただけることは、とても嬉しいことです。
でも、果物屋でもあるcanvasにとって、
パフェをきっかけに、その果物自体を好きになってもらえること。
そして、
「この果物を家でも食べたい」
「誰かに贈りたい」
と思っていただけることは、また少し違った特別な嬉しさがあります。
ただ、今回は一つ問題がありました。
パフェに使っている桃を、そのままお渡しすることができなかったのです。
canvasでは、その日に一番美味しい状態になるよう桃を追熟させてからパフェに使用しています。
今お店で使っている桃は、仕入れてから状態を見ながら時間をかけて追熟させてきたもの。
そのため、今まさにパフェに使っている桃をお渡ししてしまうと、ご自宅に着く頃には熟度が進みすぎてしまい、一番美味しい瞬間を逃してしまう可能性があります。
さらに桃は、時期によって産地も品種もどんどん移り変わっていきます。
1週間前に仕入れた桃が美味しかったからといって、
今、市場に同じ桃が同じ状態で並んでいるとは限りません。
そこでお客様には事情をお伝えして、
「お時間をください」とお願いしました。
翌日、市場へ。
今どんな桃が入っているのか。
どこの産地が良いのか。
どの生産者のものが美味しいのか。
そしてギフトとしてお渡しするため、
食べ頃になるまでの日数も考えながら、少し固さを残した状態で用意できるものを探しました。
普段お世話になっている仲卸さんや仲買さんにも聞きながら、
「あっちの桃はどう?」
「今日だったらこっちがいいよ」
と教えてもらい、市場の中を探して回ります。
ただ桃があればいいわけではありません。
せっかくcanvasのパフェを食べて、
「この桃が美味しかったから欲しい」
と思ってくださったのだから、
その期待を裏切るような桃はお渡ししたくない。
実際に状態を確認しながら、
「これなら自信を持ってお渡しできる」
と思える桃を探してきました。
そして最後は、
箱を開けた瞬間にも「美味しそう」と感じていただけるように。
一玉ずつ状態を見ながら箱に詰め、
葉を添えて、丁寧に包装しました。
パフェには、
ジェラートやクリーム、ソース、焼き菓子など、いろいろな技術を詰め込むことができます。
でも、その中心にあるのは、やっぱり果物です。
美味しい果物に出会ってもらうために、
私たちはパフェを作っているのかもしれません。
「パフェが美味しかった」で終わるのではなく、
「この桃、美味しいな」
「この品種をまた食べたいな」
「家族にも食べてもらいたいな」
そんなふうに、果物そのものに興味を持ってもらえたら嬉しい。
そして最終的に、
果物を買って帰っていただける。
果物屋として、これほど嬉しいことはありません。
市場へ行って、
その時期、その日にあるものの中から、
自分たちが本当に美味しいと思える果物を探す。
その果物をパフェや料理にして、
まずはお店で知っていただく。
そしていつか、
「この果物を買いたい」と思っていただく。
canvasがやりたいことは、
もしかすると、こういうことなのだと思います。
今回のお客様の一言で、
改めてそれを感じることができました。
パフェから始まった桃との出会いが、
今度はご自宅で、もう一度美味しい時間につながりますように。
果物屋をやっていてよかったな、と思えた出来事でした。